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こんにちは。
マシャラ旅のYuseiです。
前回のブログで私は、タジキスタンからタリバン政権下のアフガニスタンに入国した。
国境でタリバンに軟禁されるトラブルがあったものの、無事に国境から最も近い街クンドゥーズに到着した。世界一危険な国と揶揄されることがあるアフガニスタンに少し不安をいたきつつも、最初の印象はとても良い。
▶︎2024/07/14
午前7時起床。昨夜はマシンガンを持ったタリバン戦闘員と一緒に探したホテルに宿泊し、しっかり身体を休めることができた。
今日は現在滞在しているクンドゥーズの隣バルフ州の州都「マザーリシャリフ」に移動する。
一旦、昨日注文したアフガニスタンの伝統衣装シャルワールカミーズが完成していると思うから、それを布屋さんに取りに行く。
今回の内容は以下のYoutubeの前半でも紹介しているので、併せて観てほしい。
クンドゥーズの朝
まだ午前8時前だというのに、クンドゥーズは朝から賑わっている。
なんだか騒がしいと思ったらほぼ全てのお店でジェネレーター(発電機)が動いているので、街全体が停電しているのかもしれない。とすると、昨日注文したシャルワールカミーズはまだ完成していないのではないか?
いずれにせよ、今日私はマザーリシャリフに移動しなければならないから、布屋さんに行ってみることにした。
予定通りにならないアフガニスタン
昨日「明日の午前8時にシャルワールカミーズを受け取れる」と言われたので、ホテルから徒歩5分の同じ布屋さんに行く。
Googleマップには載っていない布屋さんだから、迷ったときのために名刺をもらっていたのだけれど迷わずに行くことができた。
布屋さんの名刺

布屋さんに到着するも、案の定まだ私のシャルワールカミーズはテーラーから届いていなかった。
停電が原因でアイロンがけができず、電気の復旧を待っているとのことだ。
停電中の時間潰し
仕方がないので一旦どこかで時間を潰す。
まだお腹が空いていなかったので、ジュース屋さんで搾りたてジュースを飲むことにした。
搾りたてオレンジジュース

このお店ももちろん停電中なのだけれど、ジェネレーターでなんとか営業していた。
オレンジジュースを注文。私のオレンジジュースを作っている間にジェネレーターも故障して真っ暗になった。
真っ暗闇の中で味わうオレンジジュース。1杯100AFN(約225円)。
アフガニスタンの物価を考えると少し高いと思ったけれど、オレンジを10個使ってくれたので良しとした。
アフガニスタン伝統衣装シャルワールカミーズ
ジュース屋さんで時間を潰していたら、やっと電気が復旧したので布屋さんに戻ることにした。
ちょうどテーラーから布屋さんに私のシャルワールカミーズが到着したところだった。
布屋さんのおじさんが、私のズボンに腰紐を通してくれている。
紐を通すおじさん

縫製不良がないか確認して、シャルワールカミーズを受け取った。
テシェクル!彼らがダリ語話者かどうかは分からないけれど、ダリ語で「ありがとう」と言ってホテルに戻った。
ホテルで早速試着してみる。
仕立てたシャルワールカミーズ

私の体のサイズに仕立ててもらったのだから当たり前だけど、ぴったりのサイズだ。
色も良いし、それに縫製もきちんとされていて質がとても良い。
これでやっと準備が整ったので、ホテルをチェックアウト。
これからマザーリシャリフに移動だ。
クンドゥーズからマザーリシャリフの移動方法
クンドゥーズからマザーリシャリフの距離は約170km。一般的な移動方法はシェアタクシーである。
私も今回シェアタクシーを利用したので、シェアタクシー乗り場、料金等含めてご紹介する。
クンドゥーズのシェアタクシー乗り場
ホテルをチェックアウトした私はクンドゥーズのシェアタクシー乗り場に向かう。
場所がわからなかったので、ホテル前に停車していたオートリキシャのドライバーに場所を聞いたのだけれど、中心地から結構離れた場所にあるのでそのままオートリキシャで行くことにした。
ホテル前で乗ったオートリキシャ

リキシャ代は20AFN(約45円)。中心地からは約10分で着く。
アフガニスタンではオートリキシャも知らない人たちとシェアをする。私が最初の乗客だったので、席が埋まるのを待ってから出発した。
クンドゥーズのシェアタクシー乗り場

このシェアタクシー乗り場からマザーリシャリフ以外の都市にも行くことができる。
クンドゥーズから行くことのできる代表的な都市はマザーリシャリフと首都カブールだ。
ここに停車しているシェアタクシーは公式なタクシーだからぼったくりはいない。
実際、値段も全て決められていて、ルートと車の車種によって値段が異なる。
マザーリシャリフ行きの値段表

最も安いもので260AFN(約585円)なのだけれど、本数が少なく1台のバンに10人以上押し込められるので快適さには欠ける。
私が到着したときすでにそのバンは出発してしまっており、そのとき一番安かったのは650AFN(約1,462円)だった。
私が到着したその時間は、650AFNのシェアタクシーを逃すともっと高いシェアタクシーしか残っていなかったため、650AFNでマザーリシャリフまで行くことにした。
クンドゥーズのシェアタクシー乗り場(36.698970718285025, 68.86618059978355)
クンドゥーズ〜マザーリシャリフ
午前10時16分、人数が集まりシェアタクシーが出発した。Googleマップで表示されている所要時間は約2時間だ。
アフガニスタンの道路状況はとても悪いと聞いていたので、2時間では到着しない覚悟でマザーリシャリフに向かう。
クンドゥーズからマザーリシャリフへの道中

アフガニスタンは国全体が乾燥しており、高い山々も植物が少ない。
クンドゥーズの街を出ると交通量がとても少ないので、シェアタクシーはびっくりするくらいスピードを出して走る。
アフガニスタンではタリバンが音楽を禁止しているから公の場で音楽を流す人はいないのだけれど、シェアタクシーの中は違った。日頃制限されているストレスを発散するかのような爆音でアフガニスタン音楽をかけていた。
都市間を移動するときは、ところどころにタリバンの検問があるから、その検問が近づくと音楽を消す。
ちなみに外国人観光客は必ず検問で止められ、パスポート、VISA、パーミットの提示を求められるのだけれど、私は初日と同様に一度も止められなかった。ハザラ人に見られたのだろうか?
2時間ほど走ったところで一度休憩を取る。日本のサービスエリアのようなレストランだ。
休憩で立ち寄ったレストラン

観光客が全くいない環境で、アフガニスタン料理もよく知らなかった私は、ランチを摂らずに外で待っていようかなと思っていた。
しかしドライバーのおじさんが私のことを気にかけてくれて、彼と一緒に食事することにした。
私が注文したのはチキンカバブとナン。合計200AFN(約450円)とアフガニスタンにしては割高だけれど、サービスエリア価格なのかもしれない。
チキンカバブとナン

英語を話せる人が誰もいなかったのだけれど、雰囲気で何とかなった。
午後1時35分、腹ごしらえをして再びマザーリシャリフに向けて出発した。
マザーリシャリフに到着
午後3時10分、クンドゥーズから約5時間でバルフ州の州都マザーリシャリフに到着した。
特にシェアタクシーの最終目的地は決まっておらず、降りたいところでドライバーに伝えて降りることができる。
私の場合は、マザーリシャリフでパーミットを取得しなければならなかったので、パーミットの取得ができるMinistry of Information and Culture, Mazar-i-Sharifの近くまで連れて行ってもらった。
降りるときに乗車料をドライバーさんに支払い別れを告げた。良いドライバーさんでよかった。
トラベルパーミット取得方法 in マザーリシャリフ
アフガニスタンを旅行する場合は、必ずパーミットを各州ごとに取得する必要がある。
今回私はマザーリシャリフを観光する予定だから、そのパーミットの取得は必須だ。
パーミットの申請場所
Ministry of Information and Culture in Mazar-i-Sharif(36.70563, 67.10547)
パーミットの申請は各州に設置されているMinistry of Information and Cultureで可能だ。
街の中心地から比較的近いので徒歩で行くことができる。
営業時間でも通常門は閉まっており、小さなドアが開いているのでそこから入れる。
簡単なセキュリティチェックが入り口にあり、ライフル銃を持ったタリバンが私のバッグをチェックした。
パーミットは庭を進んだ先にある建物の、一番右のドアの中で取得できる。
わからなければ、セキュリティチェックをしてくれた人に聞いたら教えてくれると思う。
パーミット取得に必要な書類
パーミット取得に必要な書類は以下の通りだ。
- パスポート原本
- VISA原本
- パスポート用証明写真1枚
- パスポートコピー1枚
- VISAコピー1枚
パーミット取得費用は無料だ。
必要書類を揃えて申請するだけなので、簡単である。
パスポートとVISAのコピーはMinistry of Information and Cultureの道路を渡ったところに、コピー屋さんがたくさんあるのでそこで取得できる。ほとんどの店員さんが英語を話せるので安心だ。
正規のコピー代は「ゲストだからお金はいらない」と言ってくれたので分からないのだけれど、高くても100AFN(約225円)程度だろう。
タリバンオフィスでパーミット取得
実際にオフィスに行ってパーミットを取得してきた。
到着から取得までの時間は約30分。書類が揃っていればスムーズに取得することができる。
取得したパーミット

ただのこの紙が私の身を守ってくれると思うと、少し複雑な気分だ。
オフィスには、靴を脱いで入る。中にはスタッフが2人いて、どちらも英語は話せない。
パーミットを取得したいことを伝えると、英語が話せるスタッフを呼んでくれた。
必要書類を提出したら、通訳を通して「旅行の目的」「ガイドはいないのか」などいくつか質問された。また、クンドゥーズのパーミットの提出も求められた。私はクンドゥーズは通過のために1泊しかしていないからパーミットは取得していない。
そのことを通訳に英語で伝え、彼がスタッフにパーミットがない理由を伝えてくれた。
それで問題なかったのだけれど、心配な方(特に語学面)は、通過の場合でもパーミットを取得しておいた方が無難だろう。
30分ほどでパーミットの取得ができたので、これからSIMカードを調達しに行く。
SIMカード取得方法
アフガニスタンでインターネットを利用するなら、eSIMではなく物理SIMカードを現地で購入することをおすすめする。アフガニスタン対応のeSIMはいくつかあるのだけれど、私の旅仲間たちが実際にeSIMを利用しようとしたら繋がるけれど遅すぎて使えなかった。
大手eSIMの会社Airaloですら、使えなかったという話を少なくとも4人から聞いているので現地で物理SIMカードを調達した方が良いだろう。
アフガニスタンでおすすめのSIM
アフガニスタンには通信会社がいくつかあるのだけれど、代表的なものは以下の2社である。
- Afghan Wireless
- Roshan
Afghan Wireless
都市部・郊外ともに繋がりやすい。Roshanより通信速度が速い。
Roshan
Afghan Wirelessより安い。都市部では繋がるが、郊外だと繋がらない。
2社の特徴を見てわかる通り、Afghan Wirelessの方がおすすめだ。
SIMカード購入時の注意点
アフガニスタンでSIMカードを購入・契約する際に必要な書類はパスポートとVISAのみである。
契約から開通まで時間がかかることもなく、旅行者でも簡単に購入が可能だ。
ただし、以下の点に注意する必要がある。
Afghan Wirelessをカブールで契約する場合、国境で取得したPolice certificateの提示を求められる場合があり、提示できなかった場合は契約ができない。
Afghan Wirelessを私のようにマザーリシャリフやジャララバードで契約する場合は、Police certificateの提示が不要である。それについては確認が取れている。(直接Afghan Wirelessのスタッフに確認済)
実際にパキスタンからアフガニスタンに入国した旅行者数名が、カブールのAfghan Wirelessオフィスで契約しようとしたところPolice certificateの提示を求められた。
オフィススタッフによるとPolice certificateは国境もしくは空港でのみ取得ができるようで、すでに街に来てしまった場合はその後の取得が困難である。
カブールでSIMカードの購入を検討している旅行者は、事前に国境等でPolice certificateについて確認しておいた方が良い。
マザーリシャリフでAfghan Wirelessを契約
マザーリシャリフのAfghan Wirelessオフィスは以下の場所だ。
Afghan Wirelessオフィス(36.70769, 67.10470)
街の中心地にあるので徒歩でアクセスが可能だけれど、オフィスを見つけるのは意外と難しかった。
というのも、アフガニスタンの街は看板や電線がごちゃごちゃしていて、Afghan Wirelessの看板も周りのごちゃごちゃに埋もれてしまっている。
Afghan Wirelessの外観

オフィスは2階、大きな荷物を持った状態でも問題なく入店できた。
私が訪れた7月のマザーリシャリフは酷暑。
徒歩でオフィスに行ったため暑くて暑くて大変だったのだけれど、オフィス内はエアコンが効いているし無料の水もあるので快適だった。
適当に椅子に座っているとスタッフが呼んでくれるので、そこでSIMカードを購入したい旨を伝える。
ちなみにスタッフは全員英語話者かつとても聞き取りやすいので安心だ。
私もスムーズにSIMカードのアクティベートまで進んだのだけれど、その後まさかあんなことになるとは思わなかった。
Afghan Wirelessで倒れて病院に行く
SIMカードのアクティベートをしている途中、急に顔が痺れてきて目の前が真っ白になった。
私は元々低血圧が原因で倒れることがよくあるのだけれど、今回もそうだった。
嘔吐を伴い、椅子に座った状態からそのままベンチに横になるように倒れてしまった。
それが良いかどうかは別として、知らない人がエナジードリンクを買ってきてくれた。
また別の人がナンをくれた。とても食べられる状態ではなかったが、ありがたく受け取った。
私が病院に行きたいことをスタッフさんに伝えると、誰かがタクシーを呼んできてくれて、私の介助はタクシードライバーにバトンタッチ。
病院に到着すると、タクシードライバーが病院スタッフに状況を伝えてくれ、私はすぐに救急外来のベッドに行くことができた。
ドクターは当然英語が話せるし、看護師さんたちもアクセントは強いが英語が話せた。
病院で血圧を測り、血液検査と点滴をした。
ベッドから

看護師さんの1人が自腹でフルーツと水を買ってきてくれた。
アフガニスタンの方々は本当に親切でおもてなしの精神が素晴らしい。
すでに病院に到着して4時間が経った。
点滴も終わり私の体調もすっかり良くなった。帰宅の許可がドクターから出たので支払いをして帰ろうと思ったら「あなたはゲストだから無料です」と。
国立病院だったからだろうか?理由はわからないけれど、病院代も薬代も全て無料だった。
感謝してもしきれないくらいありがたい。
ムスリム国家に行くとこの見返りを求めないおもてなしがあるから、ついつい渡航してしまう。
Barat Hotel
時刻は午後9時を過ぎていた。
当然外は暗くなっていたが、私はホテルを予約していないのでホテル探しをしなければならない。
いくつかGoogleマップにピンを立てたホテルがあったのだけれど、それらは古くて汚かったり、雰囲気が悪かったりと、なかなか良いホテルが見つからなかった。
倒れて病院に行ったばかりだったから、私はそれなりに良いホテルに滞在したかった。
Barat Hotelの詳細

今回私はBarat Hotelに宿泊した。
マザーリシャリフの中心地にある、比較的大きくて高級なホテルである。
- 料金:1500AGN(3375円)
- Wi-Fi:2.3Mbps
- プライベートバスルーム
- ACあり
- 英語OK
※Wi-Fiはビデオ通話がどうにか可能なスピード。
部屋は電気をつけても薄暗かったのだけど、広々快適だった。
一番小さな部屋でもダブルベッドが1つとシングルベッドが1つある部屋である。
宿泊した部屋

ということで今回はアフガニスタン旅行2日目、アフガニスタン北部バルフ州の州都マザーリシャリフに移動し、旅行許可証をタリバンオフィスで取得したときのお話をした。
アフガニスタン渡航に関して何か質問等ある場合は、私のInstagramにDMを送ってほしい。
次回はアフガニスタン旅行3日目、マザーリシャリフを散策したときのお話だ。
それではまた次回。
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